慶が歩けるようになったのは4歳です。
健常な子は、1歳くらいで物につかまらなくても歩けるようになり、歩き始めが遅かったカナメでも1歳2カ月でひとり歩きができていました。母子手帳を見ると1歳6カ月の項目に「ひとりで上手に歩きますか?」とあり、「いいえ」に○をつけると保健師さんと面談コースです。慶はこれが3歳半健診を過ぎてもできなかったので、もうひとり歩きはできるようにならないんじゃないかと諦めかけていました。
まず一人で立つことができないと歩くことはできませんが、
慶はずーっとあざらし這いとつかまり立ちまでしかできなくて、2歳までは「ダウン症で心臓も悪かったんだから仕方ないわよ。必ず歩くから焦らないで」と慰めてくれた保健師さんも、「療育でPT受けてるのよね?」とトーンダウン。私も手を繋いだり、おばあちゃんの買い物カートみたいなのにつかまってでも歩いてくれればいいな、と目標をだいぶ下げていました。そんな3歳後半のある日、台所で調理をしていると、隣のリビングで慶がゴソゴソ動いている気配がします。「慶くん何してるの?」とそちらを見ると、慶がきょとんとした顔でひとり立ちしていました。
視点が高くなって面白かったようで、慶はそれからひとり立ちとつたい歩きをたくさんするようになり、片手だけ繋いで歩く練習を経て、4歳でひとり歩きできるようになりました。
それからは歩くのが楽しくて楽しくて、まっすぐな廊下があるとひたすらそこを行ったり来たり歩きます。今は学校のスロープが楽しいらしく、何往復も歩いているそうです。